次の二つの記事を両方お読みください.
あなたはどちらの文章を信頼しますか?1)国立がんセンター手術室、磁気で手元狂う恐れあり“引退”(2008年2月15日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080214-OYT1T00787.htm
2)上記の報道内容に関する東京女子医科大学の見解 (同日,東京女子医大FATSホームページ)
http://www.twmu.ac.jp/LAB/FATS/intelli-op.html
※注:がんセンターの見解ではありません術中MRI=手術中にMRIで患者さんの体内を観察することです.今まででは手術の前後にしかMRIを撮影できなかったので,癌の取り残しが手術後に見つかるということもあったのですが,術中MRIによりがんを取りこぼすことなく正確に手術をすることが可能になります.
さて,1)読売新聞の記事は,率直に言って読むに堪えない文章です.情報ソースがあやふやだし.学生のレポートなら私は突っ返します.
磁性体が磁石で引っ張られることや,あまりに狭い空間に人間が入れないことは,小学生でも分かります.それをMRIの導入前に医師が理解していなかったなどということはいくら何でもありえません.MRIで使える手術器具(専門用語ではMR対応性)や,手術ワークスペースの確保,術中MRIに適した手術方法の吟味は基本中の基本で,がんセンターでこのMRXの仕事に携わっている先生方は当然にしてご存じです.
それでもこのような記事が出てしまった背景には次のどれかがあるのではないかと想像しています.本当のところは知りませんけどね.
・がんセンターがマスコミ対応を誤った
・記者が,MRXの当事者では「ない」人に取材をした
(この記事が出ると得をするだれか)・実は
芸能記者だった
術中MRIを研究・実施している他の人にとってみれば,こんなひどい記事は迷惑千万です.早速見解を示したのが東京女子医大の2)の文章です.要約すれば,
女子医大の術中MRIでは,
・磁場対策は当然実施している
・術中MRIのための手術方法の工夫(人も施設も)を進めている
・現在まで600例実施したが磁場の問題は無い
・術中MRIは患者さんへのメリットも大きい
と,いうことです.
#うーむこの記事は「バカ話」だな.